モラルハラスメントは、まず何よりも「不必要に相手を不快にさせること」です。従って、いくら厳しく叱責されても、それだけではモラル・ハラスメントだとは判断できません。
モラルハラスメントは、「相手に対する敬意が欠けている」、または 「相手を侮辱する意図がある(潜在/顕在を問わず)」ことが前提にあるので、その前提に当てはまらない場合には、モラルハラスメントとは言い難いと考えられます。

<主な判断のポイント> *注

  • 悪意の存在 (加害者自身に明確な自覚のないケースも含む)
  • 「特定の個人」への人格攻撃、服従の強要
  • 執拗で継続的な攻撃

以下に、その他の例も含めて、モラルハラスメントでないものの主なパターンを示します。

1.仕事についてのストレス

例えば、「多忙」「オーバーワーク」などのストレスは、モラルハラスメントと同様に、身体に悪影響を及ぼしますが、積極的な悪意により引き起こされているものでなければ、それは、モラルハラスメントではありません。

2.仕事上の対立

モラルハラスメントは「支配-服従」の関係であり、対立している者同士が「対等」の相手として相手を認めている場合は、モラルハラスメントではありません。但し、対立が解消されず曖昧なままにされていると、相手に対する批判が表にでないまま、陰湿な嫌がらせにつながり、「モラルハラスメント」につながってくる可能性があります。

3.相手を限定していない職権の濫用

モラルハラスメントは、「静かに・じわじわと・陰湿に」行われるのが特徴で、追い詰められた個人が孤立することで、心身に深い傷が刻まれます。
特定の部下が対象でなく、全員に対して横暴な言動に出ている場合、それは許しがたい行為ではありますが、被害者は被害を共有し連帯することが可能な場合には、一般に言うモラルハラスメントとは一線を画すると考えられる場合もあります。

4.一時的な攻撃

モラルハラスメントの特徴は、「攻撃が執拗に繰り返されること」によって、精神に破壊的な影響をもたらすことです。
よって、あまりに単発的なものは、モラルハラスメントと分類されません。

5.職務による正当な要求

権力の濫用ではなく、正当に権力が使われている場合には、それはモラルハラスメントとは言えません。
仕事への評価や建設的な批判も、嫌がらせなどの目的がなく、根拠や基準が明確なものであれば、当てはまりません。

また、ハラスメント相談を受けていて、意外に多いのが、無礼の連鎖とも呼べる極度に悪化した人間関係です。これは、必ずしもハラスメントとは呼べません。しかし、これがきっかけとなり、一方から他方へのハラスメントへ発展するケースも多く見受けられます。次に、この無礼の連鎖について説明します。

*注:「モラル・ハラスメント ―人を傷つけずにはいられない」 マリー=フランス・イルゴイエンヌ著を参考に作成

 

次ページ>> 「無礼の連鎖」のケース


  1. モラルハラスメントとは
  2. モラルハラスメントの言動の例
  3. モラルハラスメントの影響
  4. モラルハラスメントでないもの
  5. 「無礼の連鎖」のケース