無礼の連鎖とは、些細な出来事がきっかけとなって、お互いに無礼を行うようになり、人間関係が極度に悪化することです。
下記のイラストをご覧下さい。

売上の達成目標で頭を抱えていたAさんは、ある日、部下であるBさんに、少し乱暴な形で業務依頼しました。そのとき実は、Bさんは、恋人との問題でストレスを抱えていて、普段であれば、上司には示さないような反抗的な対応をしてしまいました。

これにカチンときたAさんでしたが、上手く言い返す言葉が見つからなかったことから、その場は何も言わず怒りを胸の中に収めたのです。Aさんからの反応がなかったので、Bさんは、自分の言葉遣いがAさんを怒らせたことには気づきませんでした。

営業課の成績不振で元々ストレスが蓄積していたAさんは、なかなか寝付けない夜が続いており、布団に入ってからも、仕事のことが頭から離れません。眠れないので、Bさんの反抗的な態度が頭の中で何度もフラッシュバックし、怒りや不快感がよみがえります。

眠れないのはBさんのせいではないのに、Aさんは、その夜もなかなか寝付けず、それをBさんのせいだと考えるようになりました。翌日、Bさんが担当している顧客についての申し合わせのさいに、AさんはBさんのやり方にダメだしを入れました。Bさんは、Aさんのダメだしが理解できませんでしたが、元来負けず嫌いな性格と、恋人との別れを経験したストレスから、Bさんは、自己弁護するために、Aさんのやり方に対して反論しました。

このような繰り返しで、AさんとBさんの人間関係は悪化していきます。

管理人は、この無礼の連鎖を上記のハラスメントモデルに追加すると、次のようになると考えています。

この「無礼の連鎖」による対人関係の衝突自体は、相互の関係であり、必ずしもハラスメントとはいえません。しかし、この状態が放置されると、役職などの力関係によって、一方的なハラスメントに繋がるケースも少なくありません。それはモラル・ハラスメントにも繋がりますし、パワー・ハラスメントにも繋がります。

この場合、適切な仲裁者に入ってもらう等の方法により、お互いの誤解を早期に解くことができれば、ハラスメントにまで発展することを未然に防ぐことが可能と考えられます。

当事者が、相手の行為を表面的に捉えず、一歩立ち止まって相手の心理や状況を察しようとすること、そして、何より、日頃から相互に十分なコミュニケーションをとろうとする努力が大切です。


  1. モラル・ハラスメントとは
  2. モラル・ハラスメントの言動の例
  3. モラル・ハラスメントの影響
  4. モラル・ハラスメントでないもの
  5. 「無礼の連鎖」のケース