モラハラ脱出物語<たけしさん・20代・男性>②

 前へ<<  >>続き

ネット掲示板に怒りをぶつけていた日々

しかし次第に、彼と離れれば仕事ができなくなって左遷される、という気持ちは無くなり、彼と離れたいという心理が大きくなり始めました。仕事ができなくたって左遷されたってかまわない、とにかく太郎と離れたい、そして仕返しをしたいと、常に考えるようになっていきました。その一方で、仕返し(説教)が怖いから離れられないという気持ちもありました。
それでもなお、逃げられない構図は続きます。
当時の会社での一番の苦痛は、昼休みの時間でした。入社当初から隣の席ということもあり、私は、太郎と健一と一緒に食事をしていました。急に一緒に昼食に行かないなんてことはできません。いや、行かないとなれば、それをネタに「お前のように先輩社員と昼飯を食べないような付き合いのできない人間はいらない」と説教されるのが嫌だったのです。こうして、逃げても説教、一緒に食べても説教、という日々が続きます。
ある時には太郎から「一回こいつに(私)に、地方の子会社の昼ごはんを食べさせてやりたいよ」「一年ぐらい地方の子会社に飛ばしてやろうか」「地方の子会社が嫌なら、中国でいいや。それで5年くらい修行してきたら?」「ま、こいつなら会社辞めちゃうだろうな」と、言われました。健一は話に便乗して、「それ、いいかもね」と、楽しそうに笑って食事をしていました。
雇用の不安をあおられながら、昼食をとるのです。会社にいるあいだは、たとえ休憩の時間であっても、気が緩むことはありませんでした。いくら私が違う話題を振っても、太郎はすべて私への説教にすり替えるのでした。
そうして、ストレスが慢性的になっていた私は、インターネット上の日記や掲示板に自分の感情を書き始めるようになりました。感情を吐露してストレスの発散をすることと、現状を記録しておく、という二つの意味からです。
掲示板に太郎の悪口を書くことで、ストレスを発散して、なんとか感情のやりくりをしていました。しかし、日記や掲示板に感情を吐露したところで、一時的には感情を発散できるのですが、根本的な解決には至りませんでした。
むしろ、私の症状は悪化の一途を辿ったのです。

悪いのは彼?自分?私はモラハラ被害者?

何をしても太郎から非難されることを繰り返されてきたので、私は自分の感情や気持ちや判断が信じられなくなっていきました。
たとえば、昼ごはんを食べる時も、「おいしい」と発言していいのか、「まずい」と発言していいのか、わからないのです。
また、太郎以外の人との日常会話でも、一字一句言葉を選んで発言し、ここは笑っていい場面か、悲しい顔をしなければいけない場面か、などと、過度に他人の感情を気にするようになっていました。もはや、そこには、「自分」というものは存在していませんでした。
太郎が隣の席に座るたびに、時に激しい怒り、時に恐怖を覚えました。彼の特徴ある香水のにおいがするだけで、腹が立ち、彼の笑い声が聞こえるだけで殴り倒してやろかという衝動に駆られました。彼が視界に入ること自体が苦痛でした。
そんな日々を過ごしていましたが、あまりに尋常ではない状態なので、同じような被害を被っている人がいないか、インターネットで調べるようになりました。するとそこでモラル・ハラスメントという言葉を発見しました。その様子は今の私とそっくりなのでした。それからというもの、<モラル・ハラスメント>と<自己愛性人格障害>をキーワードに、インターネットを読みあさりました。
私のこの現状や症状にも、名前があったことを知り、共感することで、一種の精神的な安堵感を得ることができました。しかし、このような状況下でも、相変わらず、私は我慢が足りない、私に非があるから悪いんだという、自分を責める気持ちが浮かんできました。
冷静に考えれば(現在ならば)、はっきりいって、自分の現状と、調べたモラル・ハラスメントの定義や自己愛性人格障害の定義とがほぼ一致していて、明らかに自分がモラル・ハラスメントの被害者であるとわかるのに、それすら判断できない状態にあったと思います。当時は、自分の感覚や感情や判断といったものがまったく信じられなくなっていたのです。
もし、モラル・ハラスメントなら対策を取らなくてはいけないし、逆に、モラル・ハラスメントでないならば私はもっと我慢して努力をしなければいけません。しかし、とにもかくにも、自分がモラル・ハラスメントの被害者であるのかないのかが判らなければ、今後の自分の身の振り方(現状打破の方法)を決められないと思うようになりました。

心療内科を受診してみたが…

そして私は、『自分の現状を把握し、改善する』という目的の元に、具体的に行動に移し始めました。これまですべて自分の内に込めて溜めてきた気持ちや感情を、初めて外に向けた瞬間でもあったと思います。
まず、心療内科を受診しました。この時、心療内科、精神科、カウンセラー、と3つの選択肢がありましたが、正直違いもまったくわからず、身元やプライバシーについて信頼できる、薬ももらえる、という点で心療内科に行きました。
診察結果は、「抑うつ状態」でした。そして、抗うつ薬をもらいました。診断書ももらって、自分が抑うつ状態なんだという、事実も把握できました。これは、現状を把握するのにも役立ちましたし、薬をもらうことで抑うつ状態が改善されて行くんだなと思いました。
一方で、心療内科に通院を3回ほどした頃から、毎回しっかりと決められた30分という診察時間の枠の中だけで、医師は本当に私の複雑な境遇や気持ちを理解してくれているのか?という疑問も湧き始めました。医師が説明するとおり、確かに”抑うつ状態”の症状は安定もしくは改善に向かっているのかもしれないけど、心療内科を受診しても、その直後に気分が晴れることもありませんでした。淡々と症状の説明をされて薬をもらうという繰り返しに、嫌気が差していました。
心療内科を受診して抗うつ薬を飲む日々がしばらく続きましたが、同時に次のようなことも考えるようになりました。
心療内科では、自分の、「うつ」の症状に対する診断、および「うつ」の症状を改善することができる。しかし、自分が「うつ」の症状になってしまう根本的原因を解決するには至らない。根本的な原因が何なのか、つまり自分はモラル・ハラスメントの被害者なのかわからないままだ。それを知りたい。さらに、今後の自分の行動について、いわゆる「相談」ができないかと思いました。このようなことは、心療内科ではなくて、カウンセラーにお願いできるのではないかと考えました。
今の社会では、未だモラル・ハラスメントということの認知度は決して高いとはいえません。モラル・ハラスメントというのは、被害者本人さえも気づかずに、静かにじわじわと陥れられていきます。そして、一般的には、当事者以外の人から見れば、加害者は正当化され、被害者には我慢が足りないという認識がなされてしまいます。たとえ被害者自身であっても、我慢が足りないと自分を責めてしまいます。
このような、モラル・ハラスメントに至る過程とその被害者の心理状態というのは、とても独特で複雑なものだと思います。だから、医師であろうと、カウンセラーであろうと、モラル・ハラスメントということを認知していて初めて、モラハラ被害の治療の効果が期待できると思います。したがって、カウンセラー資格を所有し、モラル・ハラスメントに対する専門的知識を身につけている石井先生が適任だと思いました。
また、モラハラ対策室のホームページには、石井先生の経歴、顔写真、モラハラから脱出した方の体験談、大手企業や大学等における講演の実績が掲載されていました。モラハラの被害者が精神的に追い詰められているという問題の性質上、モラハラ対策室及び石井先生に対する安心と信頼を持てた事で、石井先生への依頼を決意できました。

>> 続き

 

詳しくは「モラル・ハラスメントがわかる」無料小冊子をご覧ください。

※プライバシー保護、キーワード説明のために、若干の脚色が施されています。

関連記事

  1. モラハラ脱出物語<たけしさん・20代・男性>③

  2. モラハラ脱出物語<たけしさん・20代・男性>④

  3. モラハラ脱出物語<なつこさん・30代・女性>③

  4. モラハラ脱出物語<たけしさん・20代・男性>①

  5. モラハラ脱出物語<なつこさん・30代・女性>④

  6. モラハラ脱出物語<なつこさん・30代・女性>②

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。