モラハラ脱出物語<たけしさん・20代・男性>①

石井先生へ…

このたびは、大変お世話になりました。
最後のコーチングを終えてから、1か月になろうとしています。
その後私は、当時付き合っていた彼女と籍を入れ、楽しく日々を過ごしています。
あの時、精神的に追い詰められて心療内科を受診した後、先生に相談をするという選択肢を取っていなかったらと想像すると、恐ろしくてなりません。
会社を辞めていたばかりでなく、彼女と別れることになっていたかもしれません。
先生には、モラル・ハラスメントによって歪められた私の人生を元の人間らしいものに戻していただいて、感謝の気持ちで一杯です。
彼はというと、相変わらずです。どうも、私というターゲットがなくなってしまったために、いろいろな人をターゲットにしているようです。
今でもたまに私もターゲットになるのですが、彼の話は聞き流して、彼に飲みに行こうと誘われても、適当に理由をつけて断っています。
私は、作文はあまり得意でありませんが、体験記を書きましたのでお送りします。

入社時の意気込み

「世界を代表する技術者になるのが夢です。自分の開発した製品を世の中に広めたい」

某企業の研究開発職に入社する前に、書き残していた意気込みです。
私は、自分はそれほどの高学歴じゃないけど、実力もあるとはいえないけど、日々努力をして、最低でも部長、もしくは事業部長までは出世してやるぞと野心を抱いていました。それに、研究開発職に就くにあたり、海外の学会で発表したい、そして賞をもらって認められたいと思っていました。そのためには、語学力、特に英語が必要だと思い、入社当時は、週に5日30分は英語の勉強をして自己啓発をしていました。
まさかその後、夢も希望も気力も健康もすべてを失う、モラル・ハラスメントの被害に私が遭うとは露知らず・・・。

配属直後の対象者とのかかわり

入社後の配属で、最初に座ったのが、加害者(太郎)の隣の席です。逆サイドの隣に座っていたのが健一でした。私は、太郎と健一に挟まれる形になりました。二人は、30代の中堅クラスの先輩でした。
太郎との間で鮮烈に記憶に残る事が起きたのは、配属されてまだ2週間程度と間もない頃のことです。
私は、プレゼンテーションの仕方という内容の新入社員教育を一日かけて受講しましたが、その翌日の昼休み、私は太郎に「昨日受けた研修すごくためになったんですよ! プレゼンテーションの仕方なんですけど。入社して早々、今後の会社生活をしていく上で価値のある教育を受けられて良かったです」と、話しかけたのです。太郎とは隣の席ということもあり、日常会話をするようになっていました。
すると太郎は、「だからさっ、そんなもの何にも役に立たないんだよ!! そんな教育受ける必要はないんだよ! そんな程度の先生より、俺の方が100倍プレゼンテーションがうまい。俺のプレゼンテーションで今まで何億って金を動かしてきたと思うんだ!!  そんな教育を受けている暇があったら、さっさと仕事を始めて、金を稼げ!」と唐突に言い、「あームカつく」と吐き捨てて、席を立ち、どこかへ行ってしまったのです。
開いた口がふさがらないとはこのことでした。
この当時は、どう考えても私に非がないのは明らかだと思えたので、「どこか腹の虫の居所が悪かったのだろう、この人は気分屋なんだろう」、「会社にはいろんな人がいる、先輩と後輩の仲っていうのも大変だな」と思って、気持ちの整理を付けました。
それから程なくして、私は、太郎と二人で飲みに行くようになりました。
当初から今に至るまで、太郎が口癖のようにいつも言っていることがあります。

  • 酒も飲めない人間は、出世できない。みんなで酒を飲まないような部署は、チームワークがなくなってやがて潰れるだろう。
  •  今の部署や人間をよく見てみろ。みんな酒を飲まないだろう。だからみんな仕事できないんだよ。
  •  俺は、こんな部署や人に囲まれたお前(私のことです)がかわいそうでならない。だから、俺は、せめてお前だけには、酒の飲み方を教えてやる。お前を助けてやりたい。

この理屈をまとめると、太郎の中では、酒を飲む=仕事ができる。すなわち、酒を飲まない今の部署と人は仕事ができない→そんな部署に配属されたお前(私)はお先真っ暗→お前(私)はかわいそう→せめて俺(太郎)だけでもお前(私)を育ててやる→一緒に酒を飲みに連れて行く、ということです。
彼の話は妙に説得力がありました。酒を飲む=仕事ができるという理屈も、普通であれば必ずしもそうでは無いと思えるはずなのですが、部署の中で酒の席に参加しない仕事ができない人、酒の席に参加する仕事ができる人だけを例に挙げて、巧みに説得力を持たせます。隣の席の健一が、いわゆる太郎の理屈どおりの駄目な社員だったので、現実味は増す一方でした。
さらに、「かわいそう」な私に同情する時の太郎の表情は、真剣そのもので、あたかも自分のことのような顔をするため、太郎の話を聞くと自分の将来がどうしようもなく不安になり、太郎と酒を飲めば仕事ができるようになって助かる、という心理状態になっていきました。
太郎以外の周りの社員は年が離れているせいもあったのか、私に社会人としてのマナーや付き合いといったことを一切教えてはくれませんでした。そのため、入社したばかりの私にとって、太郎の言う理屈だけがすべてであり、太郎だけを信じることになっていったのです。私は、太郎だけが唯一の味方であると思い、太郎との距離を近づけていくようになりました。
これはあくまで、後から考えた私の推測なのですが、太郎の中にも「俺はお前を助けてやっているんだ」という心理が芽生えていたのではないかと思います。

離れられない。つらいけど我慢する

それからというもの、太郎と何回も一緒に飲みに行きました。ますます職場でもよく話すようになりました。しかし、それが次第に、太郎が私に対して一方的に説教をするという構図に変化していきました。
ある時も、太郎と二人でお酒を飲みに行き、夜の6時半から11時半まで延々と一方的に説教をされました。内容はこうです。

  • もっと毎日飲まなければ、会社の付き合いができない。
  •  俺が上司だったら、お前を絶対に左遷している。
  •  俺が上司だったら、お前は絶対に採用しなかった。
  •  お前はもう駄目なんだよ。
  •  リストラがあれば、お前は首を切られるだろうな。
  •  お前がいるだけで年間何100万も無駄になっているんだから、その倍は稼げ。

二人きりで、ずっと話を聞かされて、精神的苦痛は甚大でした。
また、ある時は、会社の席でそれぞれ異なった日にこう言われました。

  • お前は周りの人に気を使わせ過ぎている。だから嫌われているんだ。
  •  お前はもっと周りの人に気を使え。マナーが悪い。
  •  お前は周りの人に気を使い過ぎだから、周りの人間も距離を置きたがるんだ。

太郎は、言っていることが、その場その場で異なっていて、結局、何をしても私は非難されるのでした。そして、何が正しいのかという事がわからなくなっていきました。
また、ある時は、「俺は結婚したいから」と太郎からコンパに行こうと誘われたのですが、私は、付き合っている彼女がいるから無理だと言って断りました。そうしたら、こう言われました。

  • だから言ったでしょ。君の彼女は嫉妬深いって。そんなことも見抜けなかったのか? 君もまだまだ子供だねぇ。
  •  今度飲み会を開いて、君の彼女が駄目だってことを駄目出しにすることにしたから。
  •  もうちょっと、お前の立場が理解できる人を置けや。お前はそれほどのレベルじゃねぇんだから。
  •  すーっごい底辺の低いレベルで傷を舐めあってどうするんだ。

太郎は、遠くから私の彼女を見たことだけはあるのですが、直接彼女と話したこともありません。彼女に至っては、太郎の事など記憶にもありません。それなのに、まるで彼女のことを深く知っているかのように太郎から悪口を言われ、思わず手が出そうになりました。
この頃になると、彼と近づけば仕事ができるようになる、という近づきたい心理から、彼と離れれば仕事ができなくなって左遷される、という追い詰められた心境に変わっていきました。どれだけ理不尽な事を言われても、怒られても、説教されるのは自分に至らない所があるからなんだと直そうと努力しました。太郎の言うとおりにやろうと必死でした。
太郎は、他人の小さな欠点や小さな失敗を見抜く力に優れていて、それが重大な欠陥や失敗であると思い込ませる理屈をつけるのに優れていました。
「お前も彼女もどうしようもない人間だ」「ダメ人間同士、傷を舐めあっているだけ」と直接仕事に関係のない彼女のことまで責められました。

>> 続き

 

詳しくは「モラル・ハラスメントがわかる」無料小冊子をご覧ください。

※プライバシー保護、キーワード説明のために、若干の脚色が施されています。

関連記事

  1. モラハラ脱出物語<たけしさん・20代・男性>②

  2. モラハラ脱出物語<たけしさん・20代・男性>④

  3. モラハラ脱出物語<なつこさん・30代・女性>③

  4. モラハラ脱出物語<たけしさん・20代・男性>③

  5. モラハラ脱出物語<なつこさん・30代・女性>①

  6. モラハラ脱出物語<なつこさん・30代・女性>②

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。