モラハラ脱出物語<なつこさん・30代・女性>③

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もう震えが止まらない

努力の成果が現れたのか、少しは平穏な日々が続きましたが、また先生の怒りに触れることをしてしまいました。
領収書に記入した「,」の表示が小さかった、というのがその理由でした。
お客様に領収書をお渡ししようとしたところ、先生から領収書を奪い取られました。先生の大きく見開いた目。私は敵に睨まれた小動物のように身体を硬くしおびえました。目の前で、領収書をビリビリとやぶかれ、書き直されました。金額に間違いは無いので、私はただおどおどするばかりです。お客様の目の前であることに屈辱を感じました。先生の怒りが頂点に達していることは明らかでした。お客様を送り出した後は、まったく無視され、一言も口をきいてくれません。
やがて、先生から長い文面のメールが届きました。
「あなたは領収書の書き方もご存知ではないのでしょうか。このような重要な基本事項もおろそかになさっているとは、あなたは仕事を馬鹿になさっているのではないでしょうか」と、領収書の書き方(¥マークの書き方や「,」の重要性、金額の数字の並べ方など)を、細かく指示されました。
仕事を馬鹿にしている・・・、そんなこと、今まで誰からも言われたことのない言葉でした。心の中が冷たくなっていく思いがしました。自分という人間が、すべて否定されたような悲しさを感じました。
それからというもの、領収書を書くときは先生にギロリと睨まれているようで、数字がうまく書けなくなりました。カンマ「,」がどうしても程よい大きさに書けないのです。慌てて書き直すのですが、また間違ってしまいます。
しまいには、先生が数字を殴り書きしました。顔が痺れるようになりました。
先生は、特に金銭に関することは異常なまでに神経質で感情的です。
小口の現金の計算が10円単位で合わないこともあったときは、「小さな仕事を馬鹿にする人間に、あなたは大事な仕事を任せられるでしょうか。10円くらい間違えてもいいという思いがあるから、お金が合わないのです。あなたのような人がいるから、取り返しのつかないミスが起き、お客様の信用を失う結果になるのです」というメールが来ました。
退社後も、なぜ10円合わなかったのだろう、なぜ10円合わなかったのだろう、そのことばかりが頭の中でぐるぐる巡って、何も手がつかず、食事もとれませんでした。
夜、寝床に入っても10円のことが、先生の冷たい表情が、メールの文面が、頭から離れません。身体がびくびくと震えて、眠れなくなっていきました。

「モラル・ハラスメント」との出会い

先生の指示通りの書類の作成をし、再度確認した後に封を閉じ、さあ郵便局に出かけようとした時でした。
突然「違う、違う、あなたのやっていることは全然違います!」と、書類を奪われ、目の前で封筒をびりびり破かれ、私の無知と不注意を責められました。
先ほどまで、この通りやってくれと言われてやっていた仕事なのです。
私が自分の裁量で勝手に何かをしていた仕事ではありません。
先生の怒りはおさまらず、どれだけこの書類が重要かということを、いつまでも言い募っています。「これは重大な仕事なんですよ! あなたは本当に仕事を馬鹿にしている!」私の頭の中は空っぽになっていくようでした。「申し訳ございません・・・」反射的に、謝っている自分はどこか自分ではないように感じました。
「その、謝り方が気に入らないんですよ! その、謝り方が!!」
「・・・」
私は、もうどうしてよいのかわかりませんでした。
「あなたは一体、何なのですか!急に快活になったかと思うと、慇懃無礼に振舞う、黙り込む、どこか体調でもおかしいんじゃないですか!」
涙がポロポロとこぼれてきました。
職場で涙を流している自分。もう限界だと思いました。誰かの助けが必要だと思いました。
心療内科や精神科に行けばいいのかしら? でも、こんな職場の些細な出来事は誰にも言えないと思いました。我慢の足りない自分が病気になったと医師に診断されることに恐れを感じました。
友達に相談できればいいのですが、年齢的に、みな子育てや仕事に忙しいのです。今までの辛かったことを、細かく誰かに伝えるということ自体が、もう苦痛でした。わかってくれるとは、到底思えないのです。
その時、新聞に「モラル・ハラスメント」の記事を見つけました。
モラル・ハラスメント?
言葉・態度・文書により、静かに・じわじわと・陰湿に繰り返されるハラスメント行為。それは、周囲からは些細に見える行為・・・。
衝撃でした。何もかもが、当てはまるように思われました。
私はモラル・ハラスメント行為を受けていたのだ!
まさに、雲が晴れる思いでした。
でも、すぐに気分は沈みました。
客観的に見たら、領収書の書き方を注意されたというだけで、誰がそれをいじめというでしょうか。まるで私が被害妄想の変な人間のようで、誰かに告白することも抵抗がありました。
自分がモラル・ハラスメント行為を受けている・・・つまり、いじめられている・・・と、自覚してしまっただけ、辛い症状がひどくなっていくように思われました。
それと同時に、先生に対する怒りのような感情が芽生えてくるのも感じていました。

『職場のモラル・ハラスメント対策室』

もっとモラル・ハラスメントのことが知りたい。わたしはインターネットで検索を重ねました。
多くのサイトのテーマは、男女間のモラル・ハラスメントで、アダルトチルドレンや機能不全家族、共依存といった問題と合わせて論じられているものもありました。
夫婦のモラル・ハラスメントも、職場の状態と似通ったものがありましたが、家庭と職場では関係性が違うので、どう応用したらいいのかわかりませんでした。
私の体調は、頭痛、発熱、胃痛、下痢(いつしか朝の出勤時には習慣的にお腹がこわれるようになっていました)耳鳴り、動悸、冷や汗、手の震え、不眠・・・と、最悪。朝の挨拶を交わすだけで、蕁麻疹が出るようになっていました。
寝ても覚めても頭の中は、仕事中の嫌な出来事と辛い思いでいっぱいで、難しいことも全然考えられなくなっているのに、その上、子ども時代の辛かったことなどまで思い出し、心理的な問題点を振り返っていくのというはとても耐えられないことでした。
そんな中、石井先生の『職場のモラル・ハラスメント対策室』には、アダルトチルドレンなどの言葉が一切ありませんでした。モラル・ハラスメントは、ハラスメント行為を受けた被害者が心身のバランスを崩し悪化させ、回復する力を失っていくことが一番危険なことであると明解に説明され、今とこれからが大事であるという明るい印象を受けました。
書類をホッチキス止めするのに緊張し、パンチの穴がずれたら脅え、震えた手で領収書の数字を書く私は、カウンセラーでもある石井先生の助けを求めたいと思いました。
勇気を出して、個別相談を申し込みました。

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詳しくは「モラル・ハラスメントがわかる」無料小冊子をご覧ください。

※プライバシー保護、キーワード説明のために、若干の脚色が施されています。

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