医師や看護師の離職や休職を予防し、皆が成長できる病棟づくりのために

最大の予防法

ハラスメント予防の最大の鍵は、全てのスタッフが、ストレスに上手く対処し、共感力を維持できるようになることにあります。

それは、管理者がハラスメントをしないようになることにもつながりますし、ハラスメントを受けたスタッフが、萎縮の悪循環に陥らないことにもつながります。

繰り返しますが、部下を強く叱責することがハラスメントになるのではなく、不必要に部下を傷つけ、萎縮させてしまう行為が、ハラスメントになると考えるべきなのです。

ストレス(フラストレーション・気分)に左右され、共感できない上司は、それがわからないため、部下をひどく傷つけたり、とことん部下を追い詰めたりしてしまうのです。

反対に、ストレスに上手く対処し、共感力を維持できている上司は、必要に応じて部下を叱るものの、部下の痛みがわかるので、あるところでは叱ることをやめ、ハラスメントを自重できるようになるのです。

私たちは、ストレスを抱えていると、他者に共感できなくなるのです。なぜなら、ストレスとは、本来、外敵から身を守るための防衛本能です。そんな防衛本能が過剰に働いているときには、他者の感情を理解できなくなってしまうのは当たり前だからです。

以前は良い先輩だったのに、師長になってから、急に人が変わったように、いつもピリピリし、部下を叱りつけている、というようなケースでは、管理職になったストレスを蓄積させてしまった可能性が非常に高いのです。

一方、ストレスを上手く対処できないスタッフは、不安回避のためのメンタルリハーサルを頭の中で繰り返すようになります。ストレスとは防衛本能なのです。ストレスが蓄積されればされるほど、いつまた攻撃されるかに対して、神経過敏になるのです。仕事がオフの時も、威圧的な上司のことが頭から離れないのは、このためです。

そして、実はこれによって、神経過敏性をより一層高め、ハラスメント被害(萎縮の悪循環)を強めてしまうのです。

これらの意味において、病棟におけるモラル・ハラスメントを予防するには、職員一人ひとりが、きちんとしたストレス対処法を身につけ、本来の共感力を維持できる職場づくり、スタッフ教育が必要だ、というのが私の考えです。

なお、ストレス対処法を身に着け、共感力を高めることは、モラルハラスメントの予防になるだけではありません。

それは今、多くの病院で問題となっているスタッフのメンタル不全の予防につながるだけでなく、患者様へのサービスが向上したり、スタッフ一人ひとりの成長に直結するのです。

昨今、看護師ひとりを採用する費用は300万円を超えるといわれています。

それと同じ費用を、スタッフ教育に投入すれば、いったい何人の看護師の離職・休職を防ぐことができるのか、まず試してみませんか?